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思いやりを、行動に──『孤独の本質 つながりの力』一部公開⑦
子供たちが社会的・感情的スキルを伸ばしていくことも重要だが、社会的なつながりを育む次のステップは、積極的な思いやり、つまり「奉仕」をおこなうことだ。
子供たちに他者への思いやりを持てと伝えるだけでは十分ではない。自分という存在は周りや社会にとって本当に大切な存在だと感じながら育つためには、助けを得たり与えたりすることを学ぶ必要があり、それによって、自分は世界に意味ある変化をもたらせるのだと知るこ
神経科学から見る「奉仕」の効果──『孤独の本質 つながりの力』一部公開⑥
最近の研究者たちは、この点について神経科学的な観点からアプローチしている。そのひとりがスティーブ・コール博士[1]だ。奉仕は目的およびやりがいと結びついており、これら3つはどれも社会的なつながりにおいて重要な役割を果たしているとコールは言う。
しかし特に、孤独のトラウマを癒やすにあたっては奉仕が大きなカギとなるかもしれない。
結局のところ、孤独感から生じる強い警戒状態は自己中心的な現象だとコー
ずっとオンライン──『孤独の本質 つながりの力』一部公開⑤
初めてフェイスブック、ツイッター、インスタグラムに登録したとき、友人たちとのつながりを保ち、コミュニティ内の会話に参加できる素晴らしい手段だと思った。最初のころは、長らく連絡をとっていないクラスメートや友人たちをフェイスブックで見つけ、笑顔でこちらに微笑みかける写真のなかの顔を眺めて幸せな気分に浸っていたのを覚えている。
しかし、多くの友人たちとオンラインでつながれるのは素晴らしいことだったが、
孤独のパラドックス──『孤独の本質 つながりの力』一部公開④
孤独が健康にこれほどの悪影響を及ぼすのだとしたら、社会的な孤立の兆しを察知した瞬間に、あらゆる手を尽くして人とつながろうとするのが理にかなった行動のように思える。そして多くの場合、まさにそうした行動がとられている。
生物学上のプロセスが設計どおりに機能しているとすれば、孤独の兆しを察知して不安を感じたとき、「味方」を見つけようという動機が生まれる。母に会うため実家に帰ったり。配偶者にハグをしたり
生死に関わる問題──『孤独の本質 つながりの力』一部公開③
ジュリアン・ホルト・ランスタッド博士は、ミネソタ州セントポールで生まれ育つなかで社会的なつながりが持つ力を学んだ。子供6人のうち4番目に生まれた彼女の家は、勤勉と絆の強さを誇りにしていた。父の4人の兄弟姉妹もそれぞれ大家族を作っていたため、いとこ、おば、おじがたくさんいて、毎年1週間を全員で過ごすのが習慣となっていた。この習慣は、家族の大切さを強く信じている彼女の祖父母が推奨したものだった。
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