物語をつくると、「言葉にできない本音」が見えてくる!?――“言葉にできない”自分の本音に気づこう【第4回ワークショップ】
グラフィックを使って、“言葉にできない”自分の本音に気づこう。
その“言葉にできない”部分を「言葉」でお伝えするべく、本連載は山田夏子さん(通称なっちゃん)と読者モニター3人による、ワークショップのレポートというかたちでお届けしています。
今回も3つのワークをしましたが、特に2つ目のワークは、3人それぞれの世界観が爆発! 線や色を通して模索してきた「“言葉にできない”自分の本音」が、かたちになっていきます―。
第3回ワークショップから1ヶ月、お馴染みのこの3人が集まりました。
(左から)
シンケル(31歳):製薬会社の開発職/職場の先輩に「あなたはどうしたいの?」と言われて、モヤモヤしていた。/仕事と家庭の両立にも悩み中。
ハルちゃん(41歳):情報サービス会社の人材開発担当/2児の母で今は育休中。/子どもにはあって今の自分にはない気がする感覚を思い出したい。
カトちゃん(35歳):機械メーカーの新規事業開発担当/理系的で冷静な自分と情熱的な自分との間で揺れ動いている。/アートとデザインの違いに興味あり。
ワーク1: 線と色で「今の気持ち」を描いてみよう
今回も「今の気持ち」を表現するワークでウォーミングアップ。第2回と第3回のワークの合わせ技で、線と色を使って表現します。今回はなっちゃんも描きました。
3回のワークを経て、自分の気持ちを描くことにすっかり慣れた3人。ほのぼのおしゃべりをしながら描かれたのは、こんな「今の気持ち」でした。
なっちゃんの今の気持ち
カトちゃんの今の気持ち
ハルちゃんの今の気持ち
シンケルの今の気持ち
描いたものを見ながらの対話も慣れたもの。それぞれ個性ある絵でしたが、今日のワークショップへの期待を黄色やオレンジで表現しているところは、共通していました。
ワーク2:自分で描いた絵に、物語をつけてみよう
なっちゃん みんなわくわくしていますね~。ではそろそろ、今日のメインイベント、宿題の発表をしていただきましょう!
実は先月のワークショップの最後、こんな宿題がでていました。
【宿題】
色をつけた自分の絵に、物語をつけてみてください。
現実世界での自分の変化や将来を描写するというより、描いた一連の絵を、物語で表現するとしたらどんなものになるだろうかと、考えてみましょう。
たとえば、「昔々あるところにおじいさんとおばあさんが……」とか「あるところに、1匹の蟻がいました……」というように、比喩やメタファーを使ってもいいです。
カトちゃん 今回の宿題、すごく難しかった!! 言葉にできない感覚を、人に語る物語にするんだよ?
シンケル&ハルちゃん うん、本当に難しかった!!!
なっちゃん そうでしたか(笑)。発表の前に、お互いの絵をもう少し味わっておこうかなと思います。みんなでこの絵を音で表現してみましょう。
シンケル 音……!
とまどいながらも、絵のまわりに集まります。4人からでてきたのは、こんな音でした。
カトちゃんの絵から、聞こえてきた音
かさかさかさかさかさ
んごんごんご
さわさわさわ
とんとん……きゅん、きゅん……
こぉぉーぼんぼんぼんぼん(エンジン音のような)
ハルちゃんの絵から、聞こえてきた音
にゅにゅにゅ、とっとっと
ひゅーん、ずず、ほわーん、わーん
しゅー(だんだんとボリュームが大きくなる)
ぽんっ
ひゅぉーっ(ちょっと強めな風が上に吹きぬけるかんじ)
シンケルの絵から、聞こえてきた音
ぐぉんぐぉんぐぉんぐぉん、うぉぉぉぉん(地響きのような重低音)
てぃーん
ごわんごわんごわん
ふぅぃーーん(雅楽のような音)
しゃかしゃかしゃかしゃー、てぃーん(音の余韻)
本当にほしいものを見つける、サンタの物語
シンケル なんだか不思議な時間だった(笑)。
なっちゃん 味わいましたねぇ。では、この絵がどんな物語になったのか。カトちゃんから発表をお願いします!
カトちゃんは、パワーポイントで物語を用意してきました。各絵にスライド何枚かずつの物語があるようです。はじまったのは、サンタさんの物語でした。
(0枚目)
(1枚目)
(1~2枚目)
(2枚目)
(2~3枚目)
(3枚目)
(4枚目)
(5枚目)
シンケル すごい……!!
ハルちゃん ほぉー!!
なっちゃん いやぁ、カトちゃん、すごいよ。聞いてて思ったんだけど、カトちゃん自身も、いま仕事というものについて自問自答しているのかな?
カトちゃん そうかもしれないです。
(カトちゃんのストーリーに、はいりこんで聞いていた3人。話が終わると、拍手と感嘆の声があがりました。カトちゃんは、照れながら、みんなの感想を聞いています。)
ハルちゃん 最後の場面、サンタの話じゃなくて、本当は絵本作家の話だったっていうこと? サンタの話をもっと外から見ているような。
カトちゃん そう。メタオチにしようっていうのは、最初から決めてた。自分自身が、いつもそんなかんじだから。仕事でもなんでも、幽体離脱して自分を上から見てゲームしているような感覚。
もしかしたら、絵本作家を見ている他の誰かがいて、その人を見ている他の誰かがいる……みたいに無限につづくのかもしれない。でも、そうやっていくと、「で、俺はなんなんだ?」ってなる。
ハルちゃん 他のサンタに聞いたり、いろんな友達に聞いたりもするんだけど、答えを持っているのは子どもなんだよね。でもその答えを持っている子どもは、自分で意志を言葉で表現しない赤ちゃん。
なっちゃん プレゼントをあげることも、「これじゃないんだ」って気づく大事なプロセスなんだよね。あ、この子どももカトちゃんなのかな? 「これじゃない」って言うほうもカトちゃん。
カトちゃん そう、俺は子どもであり、サンタであり、絵本作家でもあり、それをさらに見ている人でもある。分裂してるな……。
なっちゃん 分裂というより、カトちゃんはWhole(全体)くんなんじゃない?
カトちゃん おぉ、その考え方いいな。
シンケル なんか、すごかった……。
(あらためて拍手が起こりました。)
自分の本音は、やっぱり言葉にできない
ハルちゃんは、打って変わって、絵を囲んだ紙芝居方式の発表です。
*言葉だけでは伝えきれない音のため、絵と音声でお楽しみください。五十音にならない文字を含む字幕は、ハルちゃんご本人提供です。
カトちゃん ぜっったい俺にはマネできない……!
シンケル すごい、なんか泣きそう。「ま……?」って思ったし、なんでかわかんないんだけど、感動した。
なっちゃん 人間がなにかを生み出すって、このくらい感動的なことなんだね。ハルちゃんの空間にはいったかんじだった。
(予想外の世界観に、時折笑いながら聞いていた3人。終わると、拍手と感嘆の声があがりました。)
ハルちゃん やってみたら意外と楽しかった。けど、めちゃくちゃ恥ずかしかった……(笑)。
カトちゃん ははは。具体的なシーンはなくて、むしろ聞き手の想像に任せているのがすごいよね。……なんか……やっぱり言葉にできないんじゃないかなぁ。
なっちゃん 自分の本音は言葉にできないんじゃないか、と?
カトちゃん 今ハルちゃんがやったことって、音を発してはいるんだけど、意味のある単語ではないじゃないですか。
たとえば、「紙」とか「本」って言われたらこういうもののことだってわかるけど、「ま」って言われても……わからない(笑)。ハルちゃんが思っている「ま」と、俺が思っている「ま」とみんなが思っている「ま」って、たぶんちがう「ま」なんですよ。
自分が「ま」って思ってる「ま」を、自分で気づくことはできるんだけど、……言葉では共有しづらいというか……。
なっちゃん うん、共有された言葉はないけど、ハルちゃんが音をやってくれたことで、共有したなにかがあるよね。しかも、ハルちゃんが具体的に「これはこうでこうなんですよ」って言わないからこそ、豊かに受け取れたかんじがする。共有されたなにかを、自分たちでとりにいったような。
カトちゃん そうそう。決して伝わってないわけじゃなくて、言語だけじゃ伝わらないなにか、全体の空気含めて伝わるものがあった。
なっちゃん 以前ハルちゃんは、エッセンスの感覚を認識してはいるけど、伝えるときはまわりの期待にこたえて明解に話そうとするから、そのギャップが大きそうだよねっていう話をしたと思うんだけど。今そこを超えたかんじがする。エッセンスのハルちゃんをすごく味わえた。
ハルちゃん ほぉ。
(にっこりして、すごくうれしそう。)
シンケル 今までは、「うまれる」とかの意味のある言葉のだけで説明しようとしていて、これじゃない感があったのかな。そこに「ま」がでてきてしっくりくるものになったのかも。
(あらためて拍手。)
可能性をひらいていく鳥の物語
シンケルも紙芝居方式での発表です。「ある日……」からはじまる、鳥の子どもの物語に、みんなほのぼのした雰囲気に。
ある日、鳥が空を飛んでいると目の前に大きな大きな龍の巣が現れました。
「うわ、龍の巣だ! 初めて見た! 大きいなぁ」
鳥はいつもお父さん・お母さんから「龍の巣を見つけても危ないから絶対に近づいちゃだめだよ」と言われていました。
が、しかし、いざ目の前にしてみると中がどうなっているのか気になって気になってしかたがありません。
「よぉし、ちょっと中に入ってみよう!」
鳥はお父さん・お母さんとの約束を破って、中に飛び込んでしまいました。
「わぁ~~~前が見えない……! 助けて~」
龍の巣の中はとても風が強く、いろいろなものがびゅんびゅん飛んでいました。すると、大きな木の板が跳んできて、鳥にぶつかってしまいました。
「わ、、わああああああああああ」
完全にコントロールを失った鳥は風に流され流され、いつのまにか気を失ってしまいました。そのまま鳥はただただ風に流されてしまいます。
しばらくして気がつくと、鳥はとても風の穏やかな場所にたどり着いていました。
「ん……? ここはどこだ?」
うっすらと太陽の光も感じられます。
「あっちになにがあるんだろう?」
鳥は再び自分の力で羽ばたきはじめ、太陽の光に向かってまっすぐまっすぐ進んでいきました。
すると突然、、、まぶしい光が目に飛び込んできました。
「うわ~……きれい……。。。」
鳥の目の前には、とてもきれいな黄金色の夕焼けの空が広がっていました。
「龍の巣の向こう側にはこんなにもきれいな世界があったんだ!お父さん・お母さんに教えてあげなくちゃ!」
そう言うと、鳥は力強く羽ばたきながら、お父さん・お母さんの待つおうちへと足早に帰っていきました。
おしまい
なっちゃん めっちゃ勇気の湧く話だね……! お父さん・お母さんに、危ないからって言われていたところに飛び込んで、その先に自分でつかむ世界があるってことでしょう。
カトちゃん うん、すごくいい話。で、3枚目に鳥が見えたんだよ!
(たしかに、右下のあたり鳩のようなかたちが見えます)
ハルちゃん そうそうそう! そして、1枚目は暗黒だしこわい話かと思いきや、ほんわかかわいい話だったなぁ(笑)。
(シンケルの優しい語りを、うなずいて聞いていた3人。お話が終わると、「すごーい」という声とともに、拍手がおこりました。シンケルは照れて顔を覆います。)
なっちゃん 1枚目の暗黒みたいなのは、実は龍の巣で、しかも龍がいるわけではないんだよね。
ハルちゃん そうなの! 龍と戦うわけはではないんだよね。
なっちゃん そして最後の絵は夕日だったんだね。そこに飛び立っていく。
カトちゃん で、お父さんとお母さんに伝えるんだ。言いつけを守らずに行っちゃったけど、よかったから教えてあげようって。その無邪気さがいい(笑)。
なっちゃん こうやって可能性をひらいていくんだね。
ハルちゃん そうだね。
(うれしそうにシンケルを見る3人。あらためて拍手がおこります。)
これまで紙や線や色で、「“言葉にできない”自分の本音」を、探してきた3人。今回それを自分なりの物語にしてみたことで、こらからどんなあり方でいたいのかが、見えてきたようです。
ワーク3:物語のつづきを描いてみよう
なっちゃん ……もう1個ワークをやりたいんですよ。この物語のあとにつづく、6枚目の絵を描いてみてください。映画で言ったら、エンドロールのあとにあるもう一展開のシーンみたいな。……ふふふ、困った顔してますね(笑)。
カトちゃん また難しい課題を……。
シンケル 宿題の発表でだしきった感覚だったんだけどな(笑)。えーと、私は普通に物語のつづきを描くと、お父さんとお母さんを描くことになるけど、そうじゃないんですよね?
なっちゃん うん、物語のつづきとして、なにか考えるというよりも、この絵を見ながらもう一つ描いてもらって、その絵に物語や音をのっけていってもらうといいかな。
(みんなしばらく悩んでいましたが、だんだんと手を動かしはじめました。無言の時間が流れます。)
シンケル うーん、描けない。描きたいんだけど、描けない。……描きなおしていいですか?
(もうできあがったように見えた絵を裏返しながら)
ハルちゃん 自分のなかに明確にこれにしたいっていうイメージがあるのを、紙におとしこむのが難しいんだよね、きっと。
シンケル そうなの。
なっちゃん 線だと強すぎるのかな? 切って貼ってみる?
シンケル うん、そうかも……。
(迷いなく紙をびりびり破るシンケル。真剣な顔で、破いたものを並べていき、その上からさらにパフで色を塗ります。)
シンケル とりあえずできた……かな。
なっちゃん じゃあ、お互いに見てみましょう。カトちゃんのからいきましょうか。
なっちゃん 意志を持って力強いかんじがするね。
シンケル いろんな色があって強いんだけど、まわりの黄色があたたかい。なにかがはじまりそう。
ハルちゃん うん、あたたかい……。1枚目の人と違う人になってるかんじがする。
(カトちゃんの1枚目)
カトちゃん 今回は物語があったから、描きやすかった。だんだん「あぁ、そうだったのか」ってメタ認知ができていくことで、色が増えていっているイメージです。で、右側のところで、人生最後はしゅって終わるような。
ハルちゃん あ、自分のなかに色がはいった……? 前回までは自分は黒い線で、色が外部環境って言ってたよね?
カトちゃん そうそう! 黒い線のなかが自分にはいった色。
なっちゃん つづいてハルちゃん、5枚目の「hm~」という音がついていた絵の次ですね。
ハルちゃん はい、ループして「ま」って音がする1枚目の絵にあらためてなる前の段階。音としては、「っ」くらい。
シンケル 淡い色がきれい。
なっちゃん すごく色を選んでたよね。
ハルちゃん うん、形になる前のイメージをだしたくて。形になってないけど、いるよって。
カトちゃん 輪廻ってかんじ。「またうまれおちました」っていう。
(無言でしばらく眺める3人。)
なっちゃん じゃあ、シンケルいってみましょうか。父ちゃんと母ちゃんと娘がいるね。
カトちゃん 左下の灰色は龍の巣?
シンケル そう……ほんとはもっとキラキラしたかんじ、次の新しい場所につづくかんじをだしたかったんだけど、できなかった。ははは。
なっちゃん 最初は一羽だったのが、だんだんと鳥が増えていくのかな。まわりに理解してくれる人が増えていくような。
ハルちゃん 上の緑は家で、みんなで家に帰ってお話するのかな? 迎えに来た、待っていたかんじがあるよね。お父さんお母さんも、ダメと言いつつも、龍の巣に行くのはわかってはいて、「行ったね」というかんじなのかも。
シンケル あ、それはイメージに近いかも。
カトちゃん エンドロールのあとってかんじがするね。右下に、“to be continued”ってはいっていそう。「おわり」ではない。パート2あるやつだね。
リアリティが起こした創造
なっちゃん 前回よりさらにそれぞれの世界観があったね! 大切なものを表現したぶん、でてきたものが大きくて、すごく感動した。みんなぐったりしてますけど(笑)、どうでしたか?
カトちゃん すごくエネルギー使った! 今日はよく眠れそう! 自分の物語については、書けていないことがまだある気がする。まだ自分について、わかっていないところがあるからだろうな。自分の本音って、きっとそんなに簡単にわかるものじゃないから、これからもこういうことをつづけていくんだと思う。
シンケル これってそもそも、「今の自分」と「こうありたい未来の自分」とその間の過程を、線や色で描いていたわけじゃないですか。どうありたいのかとか、どうなっていけるのかなって、感じるままに描いていったものの先に、この物語があって。一つの答えに出会えた気がした。
最後のワークの絵は、心残りがあるから、つくりなおしたいと思ってるけど……!
ハルちゃん 私は世界はいろいろなんだなぁって思った。ここにいる4人は今いろんなものを共有していて、同じものを見て笑ったりできる。
でも、そんな関係性であっても、つくってくるものは、全然違うものだった。お題の解釈の仕方も、表現も、なかで表そうとしているものも、全部違う。「人はみんな違う」って知ってはいたんだけど、そうだよねぇって実感を持てたかんじがする。
一方で、特に仕事とか普段生きているなかでは、「正解はなに?」って問われるシーンがいっぱいあって……なんか…むずかしいかなと思う。「みんな違ってみんないい」だけじゃ成り立たない。でも、違うものが全くでてこないのもだめだよねとも思う。
(大きくうなずく3人。)
なっちゃん うん、違うものがなくなってしまったら、なにも生み出されなくなってしまうよね。今日は生み出されたものを味わう、すごく豊かな時間だったと思う。映画を3本見たような感覚。
カトちゃん たぶん単体で作品を見ても、ここまでの感覚にはならなかったと思う。前段があったうえで、今ここでやった意味は大きいんじゃないかな。
ハルちゃん この顔ぶれで、このタイミングで、この時間を重ねてこなかったら、違うものができていたんだろうなぁ。それってすごいことだと思う。
なっちゃん リアリティが起こした創造なんだよね。
カトちゃん すごく抽象度が高い宿題で、ストレスを感じた一方で(笑)、それを超えるからジャンプできる、自分なりの表現ができたかんじがした。
勇気を持って、人に見せてみよう
なっちゃん ありがとうございました。次回までの宿題はですね。
シンケル また難しいやつかな? こわい(笑)。
なっちゃん ふふふ。今回はなにかをつくりだすというより、ここにいる人以外の人に、自分が描いたものを見せたり、語ったり、表現してきてください。
今まで安全なこの場でお互いフィードバックしてきましたが、もう明解に説明しなくても、聞いている人がとりにいけるくらい豊なものになっているはずです。
ぜひ勇気を持って他の人に見せてみてください。
たくさんやればやるほど、表現したものを味わえる気がしますし、見えてくるものがある気がします。見せるのが恥ずかしいと思う人にするといいかなと思います。
今日のワークのおさらい
今までで一番ハードだったと3人が口々に言っていた、今回のワーク。内容のおさらいをしてみましょう。
必要なものは、紙と色ペンと、前回までのワークで描いた絵。そして、この記事の3人のように、「自分でもよくわからなくても、とりあえずなんでもだしていいんだ」という気持ちと、安心して感想や質問を言い合える仲間です。用意できた方は、ぜひやってみてください。
ワーク1:線と色で、「今の気持ち」を表現してみよう
ワーク2:自分で描いた絵に、物語をつけてみよう
ワーク3:物語のつづきを描いてみよう
3人のつくった物語が、物語というものの解釈の仕方も、表現も、物語のなかで表そうとしているものも、まったくばらばらだったように、どんなかたちの物語にするかは自由です。
自分の描いたものの先には、どんな物語が見えてくるでしょうか。
エネルギーのいるプロセスですが、そのぶん今回の3人のように、「“言葉にできない”自分の本音」が浮かび上がってくるのではないかと思います。
(写真:山内太雅)
連載のご案内
連載「“言葉にできない”自分の本音に気づこう」
第1回 :「絵が苦手な」読者モニター、3人が決定。グラフィック・ワークショップ、いよいよ開催へ。
第2回:グラフィックのワークショップなのに、絵を描かない?
第3回:読者モニターの語りを、山田夏子さんがグラフィックで描くとどうなるか?
第4回:グラフィック・ワークショップの宿題なのに、またもや描かない??
第5回:グラフィックの講座なのに、ひたすら線を描く。会場は擬音のオンパレード!
第6回:「絵が苦手」だったはずが、いつのまにか抽象画を描いていた!?
第7回:物語をつくると、「言葉にできない本音」が見えてくる!?
第8回:他人だったモニターは、なぜ「家族のような」関係になったのか
山田夏子(やまだ・なつこ)
株式会社しごと総合研究所代表取締役、一般社団法人グラフィックファシリテーション協会代表理事、システムコーチ/クリエイティブ・ファシリテーター。
株式会社バンタンでアーティスト、デザイナーをめざす学生指導や講師マネジメント、バンタンデザイン研究所ヘア&メイクスクール館長、人事部教育責任者を経て、2008年株式会社しごと総合研究所設立。
「クリエイティブ」を仕事や教育、生活などの中で、豊かな営みとして活用できるよう、グラフィック・ファシリテーションの講座、ワークショップや研修を提供している。NHK総合「週刊ニュース深読み」「クローズアップ現代+」などのTV番組で、グラフィック・ファシリテーションをすることも。