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村瀬俊朗 連載「チームで新しい発想は生まれるか」

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新しいものを生みだすことを誰もが求められる時代。個人ではなくチームでクリエイティビティを発揮するには何が必要なのか? 凡庸なチームと創造的なチームはどう違うのか? 多様な意見やア… もっと読む
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#組織論

チームが一体となって動くための「共有認知モデル」(村瀬俊朗:早稲田大学准教授)

チームが一体となって動くための「共有認知モデル」(村瀬俊朗:早稲田大学准教授)

チームが一体となって動くとは、どういうことだろう。
私は普段スポーツをほとんど観戦しないが、たまたまサッカー日本代表の記事を目にし、「チームが一体に動くこと」がいかに結果に直結するかを再認識させられた。

「やっぱりサッカーを知らなすぎるというか。僕らが。」(1)。これは、東京五輪男子サッカー3位決定戦のメキシコ戦で敗れた際の田中碧選手の言葉だ。なぜこのようなことを口にしたのか。田中選手によると、

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トランザクティブ・メモリー・システムとは何か(村瀬俊朗)

トランザクティブ・メモリー・システムとは何か(村瀬俊朗)

「チームの業績はABCで決まる」

そうチーム研究者の間では言われている。AはAffect(感情)、BはBehavior(行動)、CはCognition(認知)だ。

そしてチーム研究では、行動や感情以上に、認知が重要だとされている。認知の重要性を顕著に示したのが、ノースウェスタン大学のレズリー ・ディチャーチ教授とノースカロライナ大学ウィルミントン校のジェシカ・メスマーマグナス教授による研究だ[

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新結合は「思いやり」から生まれる(村瀬俊朗)

新結合は「思いやり」から生まれる(村瀬俊朗)

「イノベーションは情報や知識の新結合から生まれる」。経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが提唱して以来、時代が移り変わってもこの説は有力である。

これまで知られていた情報や知識が、これまでにない方法で組み合わさることにより新しいものが生まれる。――頭では分かる。だが実現は難しい。

私もイノベーティブな発見を生み出すべく日夜励んでいるが、現実として「これが私のイノベーションです」と言える研究成果は

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「新しいアイデア」はなぜ拒絶されるのか?(村瀬俊朗)

「新しいアイデア」はなぜ拒絶されるのか?(村瀬俊朗)

異質なものの組み合わせから新しい発想は生まれる。だが私たちには、未知の情報や知識を反射的に拒否してしまう、ある心理的作用があるという。その正体とは? どうすれば乗り越えられるのか? 早稲田大学准教授でチームワーク研究者の村瀬俊朗さんが解説する。
連載 チームで新しい発想は生まれるか(村瀬俊朗)

外部のアイデアを拒絶する「NIH症候群」2007年、ツイッター社勤務のクリス・メシーナは、チャットルー

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