村瀬俊朗 連載「チームで新しい発想は生まれるか」

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なぜある人は失敗に押しつぶされ、別の誰かは耐え抜けるのだろう。(村瀬俊朗:早稲田大学准教授)

遠藤章博士をご存じだろうか。コレステロール値を低下させるコレステロール合成阻害剤の1つ「コンパクチン」を発見した科学者である。

コンパクチンは、三大死因の2つである「冠動脈疾患」と「脳血管疾患」の予防と治療に有効な合成物質と言われ、この疾患に苦しむ患者は国内で1450万人にのぼる[1]。遠藤は当時、三共株式会社(現第一三共株式会社)に勤め、現在はバイオファーム研究所の所長だ。

コンパクチンの発

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コア・エッジ理論で、アイデアに「正当性」を与える(村瀬俊朗:早稲田大学准教授)

巨大製薬会社ファイザーに勤めるジョージ・コヘンは、ある日こんな妄想を抱いた。

「社内の優秀な人材が、重要な業務により多くの時間を費やすことはできないだろうか?」

そしてコヘンは2005年、米国の内外に簡単な作業を発注できる社内向けサービス「pfizerWorks」を開発する[1]。コヘンの同僚に試作品を試してもらうと、その多くが気に入り継続を希望した。

しかしpfizerWorksはサイドプ

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あなたのイノベーションの支援者は誰か(村瀬俊朗)

HondaJetが昨今メディアに取り上げられている。エンジンを胴体後部に取り付けずに、主翼上に設置して室内の広さと静けさを確保した画期的な小型ジェット機である。

しかし、このHondaJetは組織の手厚い支援のもとに開発されたわけではない。Hondaの主力製品に資源が集中するために開発資金や人的・物理的機会には恵まれず、社内からは「車会社が飛行機の開発をなぜ行うのか」などの非難があったという[1

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新結合は「思いやり」から生まれる(村瀬俊朗)

「イノベーションは情報や知識の新結合から生まれる」。経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが提唱して以来、時代が移り変わってもこの説は有力である。

これまで知られていた情報や知識が、これまでにない方法で組み合わさることにより新しいものが生まれる。――頭では分かる。だが実現は難しい。

私もイノベーティブな発見を生み出すべく日夜励んでいるが、現実として「これが私のイノベーションです」と言える研究成果は

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