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職場の儀式って、いったい何なんですか?──『「儀式」で職場が変わる』本文概要をイラスト付きで公開
2024年4月3日発売の『「儀式」で職場が変わる』(原題:Rituals for Work)は、個人、チーム、組織の働き方をデザインするちょっとヘンな50の儀式アイデアを紹介した書籍です。
本書は、スタンフォード大学dスクールでの「職場の儀式」の研究に基づいて執筆されたものです。昨今、ボトムアップで職場の文化を変革する一つのアプローチとして注目が集まっています。
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トップダウンで示される社訓や企業スピリットは、明文化されているため多くの人に伝えることができますが、言葉だけで浸透させるのはなかなか難しい。一方、儀式は実際に体や頭を動かすことで、より身体的・精神的な実践となるのです。
この記事では、職場でのつながりや場づくりに関心がある方向けに、こんなことをご紹介しています。
1 職場の儀式って、いったい何なんですか?
さて、この本でいう「儀式(Rituals)」は、一般に儀式と言われて想像する厳かな式典とは異なるものです。それでは、この本で語られる職場の儀式とは、一体何なのでしょうか?
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このような儀式を職場で行うと、目に見えない信念や価値観、前提に働きかける効果があるといわれています。
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また、組織において重要な儀式の効果5タイプはこんなものがあります。
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その職場が必要とする変化に応じて、適切な儀式を選ぶことができるのです。本書では5タイプ×10儀式、計50のアイデアを紹介しています。
2 どんな儀式のアイデアがあるの? (「儀式16 機内モードの午後」を例に)
今回はパフォーマンスの向上やフローにつながる10の儀式から、1つを紹介します。
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この儀式は、気が散らない環境をつくり、チームメンバーがフロー状態に入りやすくるための儀式です。かつてのフライト中の機内のような環境を再現することで、ネットの誘惑をなくし、個人やチームが脇目も振らず、重要な仕事に自然と集中できるような環境を作るのです。
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本書で紹介されているやり方ではWi-Fiをオフにするだけでなく、客室乗務員役を設定することで、より「機内」らしい環境をつくっています。こういった細部のこだわりは、組織によって変更しても大丈夫です。
例えば、客室乗務員役は設定せずにより静かで集中できる環境を作るもよいですし、パイロット役や機内食(ケータリングのお弁当)を用意することで作業を進めながらも時々チームメンバーが楽しめるお祭り的な要素を増やすのもよいかもしれません。大切なのは望む変化に合わせて、意図をもって儀式に組み込むことなのです。
3 自分たちで儀式をつくるには?
本書では上級者向けのアプローチとして、自分たちで独自の儀式をつくる方法も紹介されています。
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発見、デザイン、導入をより詳しいステップにすると以下の7つになります。
意図を設定する(発見段階)
トリガーを見つける(発見段階)
アイデアを出す(デザイン段階)
シンボルを設定する(デザイン段階)
ストーリーに落とし込む(デザイン段階)
やってみる(導入段階)
体系化する(導入段階)
例えば、「意図を設定する」はこのように考えることができます。
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「(儀式で)実現させたいこと、あるいは具体的に表現したい気持ちはなんでしょうか」といった問いを考えていくことで、儀式をする意図が明確になっていきます。
本書では、組織にあった儀式を一からつくることを目指して、ステップ2以降もイラストとともに詳細に説明しています。
この記事を読んで、職場の楽しい変革に関心をもっていただけていれば幸いです。ぜひあなたの職場でも50の儀式アイデアを参考に場作りをしたり、独自の儀式を創造・実践してみてください。
※この記事は『「儀式」で職場が変わる』の内容をもとに、新しく執筆したものです。本文の内容やイラストを一部抜粋、変更して作成しています。
英治出版でもこの本で紹介されている儀式の一つ、「組織の結婚式」を実践しました。本にあるアイデアをベースに、儀式をカスタムしていくプロセスと当日の様子をお届けします。