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継続して学ぶと、どんないいことがある?(学習する組織×セルフマネジメント 参加者インタビュー)

読書と実践をつなげる場とコミュニティ「学習する組織×セルフマネジメント(以降:学セ)」の第2期参加者インタビュー記事をお届けします。里見さんと柴田さんは第1期に参加し、第2期はプログラムの進行を支援するサポーターとして参加。継続して学ぶことで生まれた気づきや行動を語っていただきました。

話し手:里見拓也(中学校教員)、柴田春奈(事業会社広報)
聞き手:山下智也(英治出版プロデューサー)

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2か月かけて学んだのに・・・体に残っていない(里見)

2022年6月から8月に開催された学セ第1期に参加しました。自分の職場を学習する組織にしたいと思ったのが参加のきっかけです。

第1期の2か月間はとても充実していました。さまざまなツールや考え方を知り、ともに学ぶ仲間と出会えました。でもプログラムが終わって少し経って気づいたんです。「あれ、あんまり残っていない」と。

もちろん、ファシリテーターの福谷さんと稲墻さんが言われていたこと、参加者のみんなと一緒にワークしたり話したりしたことは、頭では覚えています。でも、体に染みついていないというか、残っていないというか。学習する組織とセルフマネジメントを練習し続けたい、血肉にしたいと思って第2期に参加しました。

多くの研修やワークショップでは、新しい考え方や概念を頭で理解しようとします。もちろん思考も大事ですが、「頭ではわかるけど、なんか続かない、動けないこと」ってありますよね?

学セでは特に、〈わたし〉の感情や身体感覚に気づくこと、実感することを通して「自分の行動を狭めているパターン」を知り、そのパターンを変えていくことで具体的に結果を変える。これらを大切にしています。(稲墻聡一郎:学セファシリテーター)

頭と体で実感する(柴田)

私も里見さんと似ていて、大切なものに触れたのに、時間が経つにつれて体から抜けていく、忘れていく感覚があり、でも一人では学び続けられないと思って第2期に参加しました。

第1期と第2期のいちばんの違いは、学習する組織とセルフマネジメントの見方・考え方に対する「実感値」かなと思います。「体にストンと入る」感覚がありました。私と私の所属している部署とのつながりとか、そもそも私が願っているものとか、そういう一つ一つがしっくり来る。しっくり来るから行動できる。

学セのプログラム中に、会社内で飲み会を企画したんです。関係性が希薄になりがちだけど、もっと個々がつながりあう組織にしたいと思って始めました。小さいことから始める、動かせることから動かすことで、それが大きなうねりを起こす(変化のダンス)、ということを頭だけでなく体で感じているから行動できる。

頭と体で実感することが、個人でもチームでも、何か新しいことを始める鍵なのかもしれません。

〈わたし〉の身体感覚や感情や思考を実感する。〈わたしたち〉の身体感覚や感情や思考を実感する。そうすることで、自分と他者の違いに気づく。さらに、〈わたし〉と〈わたしたち〉の良い状態は自分(自分たち)でつくれることも気づくことができます。

〈わたし〉と〈わたしたち〉の身体感覚や感情を行き来するなかで、ここで柴田さんが言われている
(1)わたしとわたしたちのつながりを実感する。
(2)わたしが心から望むものに気づく。
(3)望むものに近づく選択肢を得る。
といった変化が生まれたのではと思います。(稲墻聡一郎)

深呼吸の必要(里見)

自分のチームや組織の「ありたい姿」に近づいていきたい。でも、そこに近づこうとすることって、ストレスがあったり、うまくいかないことがいっぱいあるんですよね。教室で子どもたちと一緒にいるときも、職員室で先生と一緒にいるときも、気づいたら「相手を変えられる」「人を動かそう」と意識が他者に向いてしまう。

第2期参加の変化として、自分の状態を俯瞰できるようになっているなあと感じます。「レッドゾーン(過覚醒、イライラ、興奮状態)になっているな」と気づき、「深呼吸してみよう」と選択できている。これは結構大きな変化です。

また、新たな試みとして授業の冒頭に、子どもたちと一緒に深呼吸することを始めました。授業が始まる直前まで、子どもたちは遊んだり駆け回ったりしていて、私も考えごとをしていたり教室まで急ぎ足で向かって呼吸が荒くなったりしています。

そんなときに深呼吸をすると、私も子どもたちも、グリーンゾーン(交感神経と副交感神経のバランスがよい状態)に入る、近づくことができます。子どもたちは自然にやってくれて、自分自身も落ち着ける。自分の気持ちを理解してから始められるんです。

学習する組織の有名な言葉で「ある介入の成功の度合いは、その介入者の内面の状態に依存する」というのがあります。私たちに起こりがちな不都合は、状況を改善しようとする使命感や情熱こそが、自分の状態を見えなくさせてしまうことです。

職場やチーム、家族など、自分を含むシステムの変化に取り組むときの起点となる、自分の状態に気付き、より良い思考や行動を選び取る力を高めていくため、セルフマネジメントとのコラボレーションがとても効果的だと思っています。(福谷彰鴻:学セファシリテーター)

関係性から学ぶことの価値(柴田)

学セに参加していると「自分にとって大切なこと」に触れている感覚があります。でも、その大切なことは何か、どうやって大切なことを実現できるかは教えてくれません。自分で気づいて行動するしかありません。

第1期、第2期と続けて参加すると、その感覚が掴めてくるのですが、最初は私は戸惑いました。正解がほしくてつい質問することも…。

学セがいいなと思うのは、私のように連続して参加する人がいることです。ガイドする、といったらおこがましいですが、戸惑っている人や困っている人の話し相手になったり、問いを投げかけたりすることはできます。

そして、そこで話すなかで相手だけでなく、私自身もいろんな気づきが得られる。これが、学セが大事にしている「関係性から学ぶ」ということなんじゃないかと思います。

「関係性から学ぶ」はまさに私が自分の職場で実現したいこと。それを学セという安全な場で経験しておくと、先ほどお話した「飲み会」のような新しい行動をしやすくなるんですよね。

何かを始めると、それがどんな影響を及ぼすか不安になります。でも、望んでいる状態に向けて行動すればするほど、元の状態に戻ろうとする力が働く(バランス型のフィードバック)。そのことを学セの仲間たちと実感してきたことが今とても力になっています。

学習する組織の重要な概念に、「関係性の場」や「ソーシャル・フィールド」というものがあります。私たちの相互作用から生まれて、私たちの思考や行動、感情に影響を与える関係性のスペースのことです。人間は社会的な種であり関係性の中で学びます。つまり、学習する組織の取り組みとは、ある意味で関係性を育むことです。

この全8回の講座の中でも、学習が起こりうるような「関係性の場」を育むこと、参加者がそれを体験でき、より良い場を育んでいく役に立ちたいと、いつも思っています。(福谷彰鴻)

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