平時の社会実装、有事の社会実装(『未来を実装する』内のコラムを一部公開します)
1月24日に発売した『未来を実装する――テクノロジーで社会を変革する4つの原則 』。世に広がるテクノロジーとそうでないものの違いを明らかにし、テクノロジーで社会を変革する方法論を説いた本です。
本書のなかから、リモートワーク、電子署名、遠隔医療など、今まさに私たちが直面しているコロナ禍でのテクノロジーの社会実装(新しい技術を社会に普及させること)について読み解いている部分を公開します。
社会実装は、大きく二つのシーンに分けて考えたほうがいいでしょう。「平時の社会実装」と「有事の社会実装」です。
平時の社会実装は比較的通常の生活を送ることができる時期の社会実装、有事の社会実装は特定の危機を前にしたときの社会実装と考えてください。たとえば有事としては、戦争や災害、感染症といったものが挙げられます。差し迫った危機、そしてそこから生まれたこれまでとは異なるデマンドに対して、技術が劇的に発展したり、人々が技術を急速に受け入れたりすることはしばしば起こります。
たとえば明治維新では、人々は刀を捨て西洋の技術や医療を積極的に受け入れることになりました。1923年の関東大震災は、地震で旧来の建物が倒壊し、東京が近代的な都市計画を推し進めることを促しました。第二次世界大戦は技術を発展させ、戦後にはそこで培われた様々な技術が生活に導入されていきました。たとえば、電子レンジの原理は、軍事用レーダーの開発の途中で発見されたと言われています。
近年も2008年前後の金融危機の後に、金融機関が自らこれまでの行為を反省し、スチュワードシップコードを制定する動きが加速しました。社会貢献を意識し始め、ESG投資が一大トピックになったほか、経済の再興を促そうと諸外国ではスタートアップが盛んになりました。
本書を執筆している2020年、未曽有の危機が世界中を襲っています。SARS-CoV-2と呼ばれる新型コロナウィルスと、その感染症であるCOVID-19という災厄が人々の命を脅かし、世界中で多くの都市が封鎖され、人々はこれまでにないほどの行動制限を受けました。病院は患者で溢れ、医療崩壊に近い状況が各都市で起こり、従来であれば助けられた他の病気の人々の命すらも失われる事態が世界中で起こっています。
行動制限による経済や教育、文化への悪影響も予期されています。米国では失業率が一時14%を超え、約7人に1人が失業状態に陥りました。日本でも緊急事態宣言が行われる事態となっています。今後、ウィルスによる直接の死者に留まらず、経済停滞による被害者が多く出てくることも予想されています。
国家間の移動も制限されることで、冷戦以降、加速を続けていたグローバリゼーションにも多少の見直しがかかることになるかもしれません。ワクチンが普及するまでの間、こうした経済活動の制限は続くものと予想されており、本書執筆時点ではそれがいつになるかはまだ判然としていません。
一方で、新型コロナウィルスに対抗するために、テクノロジーの社会実装が進み始めています。たとえば通勤時や会社内での人の接触を避けるため、リモートワークが推奨され、人々の一部は自宅で働くようになりました。
これまで遅々として進まなかった「はんこ」の見直しと電子署名の普及も官民一体となって始まっています。大学の授業は遠隔で行われるようになり、授業の参加者数はオフラインのときを超える授業もあるほどです。
このように感染症対策としての非接触を促す技術が続々と社会に普及し始めることで、これまで遅々として進まなかったテクノロジーの社会実装の一部が一気に進みつつあります。
他国の様子を見ていると、EC(ネット商取引)やスマートフォンの機能を使った食品デリバリーの需要が一気に増しているほか、オンライン教育やインターネット上でのエンターテインメントに投資が集まりつつあります。
コールセンターがパンク気味になったため、AIを使ったソリューションの導入も加速しています[1]。配達や消毒のために自動運転の車が走るようになった街もあるようです。スペインでは、警察も接触を極力避けるために、ドローンによって外出の監視を行おうとしている都市もあります。日本でも神戸市がスピーカー付きドローンによる市民への呼びかけを行ったり、東京都や神奈川県では療養施設でロボットが導入されたりしたことがニュースになりました。
今後も危機が起こるたびに、何らかのテクノロジーの社会実装が一気に進むかもしれません。しかし、それにはいくつかの条件がありそうです。本コラムではその条件と、その条件を満たした上でどのように有事の社会実装を進めるべきかについて、見ていきます。
有事に社会実装が進む三つの条件
有事にテクノロジーの社会実装が進むには三つの条件があるようです。一つは技術が十分に成熟していること。二つ目は社会実装の普及率が一定の閾値を超えること。三つめはガバナンスの変化が事前に十分に起きていることです。
今回の新型コロナウィルスの流行を機に、様々な場所でドローンやロボットが試験的に導入されたことがニュースになりました。人々が接触をしないように、ラストワンマイルの配達を自律走行のロボットが行うことなどが実験されました。しかし、本書執筆の時点ではそれが日常的な風景にはなっていません。
その大きな理由の一つが、一つ目の条件である技術の成熟度が足りなかったことです。
たとえばラストワンマイルの自律走行は2020年の現時点では、技術的に十分成熟しているとはまだ言えません。ドローンはまだバッテリーの問題で、長時間稼働できないという課題が残っています。
一方で、2020年の新型コロナウィルスの流行によって、大きく変わったものの一つにリモートワークがあります。ホワイトカラーの一部の人々は、出社を避けるために遠隔で仕事をするようになりました。すべての会社がすべての平日でリモートワークになったわけではありませんが、週のうち何日かはリモートワークを可にする会社も現れるなど、働き方が変わりつつあります。一部の企業では恒久的にリモートワークを導入するといった発表もありました。こうしてリモートワークが一気に広がったのは、リモートワークで使われるオンライン会議の技術がそれまでに着実に進歩していて、自然な会話ができる程度に成熟していた、つまり人々のデマンドを満たすレベルとなっていたからでしょう。
有事だからといって、技術が一気に発展するわけではありません。もちろん戦争等の有事において特定の技術が一気に発展することもありますが、多くの場合は時間をかけて技術は成熟していきます。平時において十分な進歩をしていた技術しか、有事の勢いの恩恵を受けることができない、と言えるでしょう。
二つ目の条件、有事に至るまでの社会実装の普及率について見ていきましょう。
先述の通り、日本でリモートワークは一気に広がった一方で、オンライン診療はそれほど一気に普及しなかったようです。必要な技術はオンライン会議もオンライン診療も、どちらもおおよそ同じはずなのになぜそれほど広まらなかったのでしょうか。
他の国に目を向けてみると、中国ではコロナ禍においてオンライン診療が一気に広がったとニュースになりました。コロナ発生以降、平安グッドドクターと呼ばれるオンライン診療アプリの新規登録者は例年の10倍の勢いで増加し、新規登録者による問診の件数は9倍に達したと言われています。中国ではオンライン診療が有事において社会実装された、と言えるでしょう。では日本と中国でのこの違いは一体どこにあったのでしょうか。
日本におけるリモートワークとオンライン診療の違いは、有事になるまでの普及率の差が一つの要因だったと考えられます。
リモートワークについては、コロナ禍が始まる前であっても導入する日本企業は年々増えてきており、2019年の総務省の調査では20.2%の企業がすでに導入済み、さらに9.4%が今後導入予定があると答えていました(2)。つまり、すでにそれなりの数の人がリモートワークを経験している状態だったのです。すでに経験している人が多ければ、まだ経験したことがない人も、周りから手助けを得ることができます。そうした状況でコロナ禍に入ったことで、一気にリモートワークは普及し、社会実装されました。
一方、コロナ禍に入る前、日本でオンライン診療を経験したことがある人はそれほど多くありませんでした。調査にもよりますが、日本でオンライン診療に対応している医療機関普及率は2020年春時点で1%程度でした。しかもオンライン診療を行ってよいとされる対象疾患は数少なく、同一医師によって6か月間、毎月対面診療を実施していることが条件とされており、診療へのハードルが高い状態でした。
一方の中国では、コロナ禍に入る前であっても、平安グッドドクターは、2019年末時点ですでに登録者が約3.2億人の規模に達していました[3]。中国ではそれ以外にも1000以上のオンライン診療関連の企業があるとも言われています[4]。つまり、コロナ禍が始まる前に、中国ではオンライン診療の「平時の社会実装」がすでにかなり進んでいたのです。そうした普及率を背景に、危機において一気にオンライン診療が広まったと言えます。
ペンシルバニア大学でコミュニケーションと社会、エンジニアリングの関係を研究するダモン・セントーラらは、実験とシミュレーションの結果から、社会が一気に変わるには25%の人が変わる必要があると指摘しています[5]。コロナ禍の日本においては、平時に着実な社会実装が進んでいたリモートワークは25%以上の閾値を超えて人々が行動を変え、一気に社会に広まったのに対し、オンライン診療は平時においてそこまで社会実装が行われていなかったため、その閾値まで達しなかった、と考えられます。平時の社会実装における着実な技術の進歩や試験的な導入といった準備がなければ、有事の社会実装もなかなか起こりえないのです。
つづいて三つめの事前の十分なガバナンスの変化があったかどうかを見ていきましょう。
技術的にはできるはずなのに、ガバナンスが障害になって普及が進まない、という事態が起こっていたのが電子署名です。それを有事のコロナ禍においてガバナンスの在り方を見直す機会を得たことによって、電子署名は普及拡大の機会を得ました。
オンライン診療の日本でのガバナンスも進みつつはありました。2018年3月にはオンライン診療に関する指針が制定され、同年4月からは保険適用が行われています。また規制のサンドボックス制度などを使って、実験を行っている事業者もいました。
ただ先述の通り、オンライン診療が可能な範囲が限られていたほか、医療機関の収入源となる診療報酬点数は対面に比べて約半分と、病院経営側からすればオンライン診療を実施するインセンティブもまだ十分ではない状況でした。しかも、オンライン診療をするためにはシステムの初期投資も必要です。こうした背景もあり、導入する医療機関が限られており、そのためオンライン問診を実施したことがある医師も、オンライン診療を受診した患者も少ないままでした。もちろん、こうした様々な制約は安全とリスクを鑑みて生まれたものではあるものの、オンライン診療について一部の団体が反対していたという背景も影響しているでしょう。コロナ禍においてオンライン診療に関する規制緩和は行われましたが、その前に普及していないことで、法律というガバナンスを急遽変えても、慣習というガバナンスは変わらなかった、と言えます。
一方、中国ではもともと慢性的な医師不足や、広大な国土を背景とした都市部と農村部での医療格差といった問題があり、オンライン診療に関する法整備や保険適用が進んでいました。2018年にはオンライン診療についての規制が整えられ、2019年には公的医療保険制度のオンライン診療への適用を進めようとしており、2020年には復旦大学付属中山徐匯雲病院が公立病院として初めてオンライン専門病院として認可されるなど、オンライン診療に向けた施策が打ち出されていました。そしてコロナ禍において、さらなる規制緩和が行われ、これまで保険適用を認めていなかった地域も保険適用を認めることで、一気に普及が加速しました。
こうした有事や緊急時のタイミングで特徴的なのは、本書でいうインパクトの設定とセンスメイキングが行いやすいという点です。(注:本書では、社会実装を成功させる4原則として、インパクト、リスク、ガバナンス、センスメイキングを挙げている)
たとえばインパクトとして、「平時と似たようなアウトカムを目指す」というわかりやすい目標設定が可能になります。「そのためには新しい技術の導入が必要だ」というセンスメイキングも容易です。本当にその取り組みが有効であれば、あとはガバナンスさえ変えれば一気に社会実装ができる、という状況だと言えるでしょう。
このように、「技術の成熟度」「普及率」「ガバナンス」の三つの条件が事前にそろっていることで、有事の際に社会実装が進みます。言い換えると、そのためには平時の社会実装を着実に進めておかなければならない、ということです。
政策の窓
三つの条件のうち、「技術の成熟度」「普及率」の二つは着実な進歩が必要なものです。一方、三つ目の「ガバナンス」は有事において大いに変わる可能性を持ちます。
ガバナンスを変えるためには政策を通す必要があります。そうなってくると、いよいよテクノロジーの社会実装は「政策起業力」の問題へと接近します。
政策の分野では、政策が常にいつでも通るかというとそうではないとされています。政策には通るタイミングがあります。公共政策の研究者で、アジェンダセッティングの重要性を指摘したキングダンは、そのタイミングのことを「政策の窓(Windows of Opportunity)が開く」と表現しています。
政策の窓が開くのは、問題の流れ、政策の流れ、政治の流れの三つの流れが合流したときです。
まずは問題が問題だと認識されることが最初に必要な流れです。この「問題の流れ」が開かなければ、アジェンダに設定されることはありません。議員や官僚、専門家が政策のアイデアを多く出し、解決策としての政策案が検討されなければ「政策の流れ」を作ることもできません。そして最後に、議員や官僚、利益団体、メディアや市民などが特定の政策案を受け入れなければ、「政治の流れ」は変わりません。どんなに良い政策の案があったとしても、政策の窓が開いていなければ政策変更はできず、そして政策の窓が開いたとしても、その窓が開いている時間はそう長くはありません。
有事はまさに政策の窓が開くタイミングです。問題が問題として広く認識され、そして政治家や官僚も危機に対して動きます。市民やメディアは解決策としての政策を受け入れる姿勢を示すでしょう。すべての流れが揃うのです。このタイミングで政策を通し、ガバナンスを変えることができれば、社会実装も大きく進むことになります。
2020年に起こったコロナ禍でも政策の窓が開きました。はんこから電子署名という点では、問題の流れに加え、政策の流れも政治の流れも合流し、政策の窓が開き、新たなガイドラインが政府から提出され、ガバナンスが大きく変わろうとしています。また、オンライン診療に関するガバナンスをこのタイミングで変えようという動きもあります。
テクノロジーの社会実装にはガバナンスの変化が必要であると考えると、社会実装にも「社会実装の窓」のようなものがあるのでしょう。問題の流れ、政策の流れ、政治の流れに加えて、技術の流れのようなものがあり、それらが合流することによって、テクノロジーの社会実装がなされると考えられます。有事は、テクノロジーの社会実装のチャンスでもあるのです。
ショック・ドクトリン
ただし、危機のときに一気に社会実装を加速させようとする試みには注意が必要です。
自然災害や政変、戦争の後は様々な変化が模索されます。新自由主義を唱えた経済学者のミルトン・フリードマンは「真の変革は、危機状況によってのみ可能となる」という言葉を残しています。確かにそのような事実はあるように思えますが、そうした状況で行われる数々の変化に対して、ジャーナリストのナオミ・クラインは「ショック・ドクトリン」という言葉で批判しました。日本語にすると、惨事便乗型資本主義、つまり惨事が起こるたびにそれにつけこんで、新自由主義者らによる市場原理主義が様々な領域に入り込んでくる状況に注意を促す言葉です[6]。
市場原理主義のみならず、こうした災害のタイミングで様々な変化を起こそうとする人たちはいます。「創造的復興」の掛け声を借りて、これを機に自分たちの利益や施策を通そうとする人たちです。
たとえば2011年の東日本大震災のときには、東北メディカル・メガバンク機構が、混乱に乗じて補正予算を取り立ち上がったことが批判されています[7]。1995年の阪神淡路大震災でも同様のことがありました。神戸市長は震災後の会見で、被災からの復興策として、前々から進めようとしていた神戸空港の建設案について触れ、震災復興計画にも神戸空港の計画を盛り込みました。
それぞれの施策に対する評価は本書では扱いませんが、これらの取り組みに対して住民から反発や不満の声が多く出ていたことには注目するべきだと考えています。決して、創造的復興の考え自体について批判が多かったというわけではありません。単なる復旧ではなく、新しい形での復興を目指していくことについて疑義を呈する人は少数でしょう。
ただ、その復興のための手法として、東北メディカル・メガバンク機構や神戸空港といった事業が、創造的復興のゴールやインパクトに対して、どのような位置づけで行われるのかが不透明だったことが、住民からの不満につながったのではないかと考えます。こうした説明を抜きに大きな社会実装を進めてしまうことで、「その裏に利権があるのではないか」「市民のことを考えていないのではないか」といったような疑念を持ってしまうのは、人として当然の心の動きではないでしょうか。
危機のときこそインパクトとロジックモデルを示す
今振り返ってみれば、かつての危機において、うまくテクノロジーの社会実装が進まなかったのは、時の指導者層や経営者層が新しい社会像というインパクトとその道筋をうまく提示できず、多くの人たちがそうした新たな社会をうまく希求できなかったからではないかと思えてきます。
たとえば、創造的復興のインパクトを定め、ロジックモデルを作ったうえで、東北メディカル・メガバンク機構や神戸空港がそのインパクトの達成のためにどのような位置づけにあるかを示すことができていれば、それらの施策の立ち位置もより明確になったはずです。もしくは、最終的なインパクトを目指す手段として、他の手段もあるという建設的な提案が、市民や関係者から出てきたかもしれません。センスメイキングの方法を知っていれば、理想を掲げたときに多くの人からの賛同を得られ、よりインパクトに近づけたかもしれません。
私たちには過去と同じ轍を踏むことがないよう、社会を変えるための方法論や、社会と対話する方法論が必要です。
コロナ禍のあとには必ず復興のフェーズがあります。だからこそ、コロナ禍の最中にあるこのタイミングで、テクノロジーの社会実装を促進するための方法論をまとめて、それを広く共有する意義は大きいのではないかと考えています。
(注)ウェブ掲載にあたり、可読性向上のため、改行を加えています。
注
[1] 「新型コロナでコールセンターが悲鳴、AI への置き換えも加速」MIT Technology Review、2020 年5月18 日
https://www.technologyreview.jp/s/205054/the-pandemic-is-emptying-call-centers-ai-chatbots-are-swooping-in/
[2]総務省「令和元年通信利用動向調査の結果」、2020 年5月29 日
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/200529_1.pdf
[3]「 新型コロナでオンライン診療急増、保険適用加速化(中国)」ニッセイ基礎研究所、2020 年3月19日
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=64031?pno=2&site=nli
[4] 「COVID-19 で期待される、世界のデジタルヘルスの取り組み(3)オンライン診療スタートアップ」Coral Capital、2020 年6 月22 日
https://coralcap.co/2020/06/digital-health-frontline-3/
[5] Michele W. Berger, Julie Sloane, Tipping point for large-scale social change? just 25 percentP, enn Today, June 7, 2018
https://penntoday.upenn.edu/news/damon-centola-tipping-point-large-scale-social-change
[6]ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン〈上〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴く』『 ショック・ドクトリン〈下〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴く』(幾島幸子、村上由見子訳、岩波書店 、2011)
[7]古川美穂『東北ショック・ドクトリン』(岩波書店 、2015)
未来を実装する――テクノロジーで社会を変革する4つの原則
馬田隆明著
今の日本に必要なのは、「テクノロジー」のイノベーションよりも、「社会の変え方」のイノベーションだ。
電気の社会実装の歴史から、国のコンタクトトレーシングアプリ、電子署名、遠隔医療、加古川市の見守りカメラ、マネーフォワード、Uber、Airbnbまで。
世に広がるテクノロジーとそうでないものは、何が違うのか。数々の事例と、ソーシャルセクターの実践から見出した「社会実装」を成功させる方法。
ロジックモデル、因果ループ図、アウトカムの測定、パブリックアフェアーズ、ソフトローなど、実践のためのツールも多数収録。
デジタル時代の新規事業担当者、スタートアップ必読の1冊。
【目次】
はじめに
第1章 総論――テクノロジーで未来を実装する
第2章 社会実装とは何か
第3章 成功する社会実装の4つの共通項
第4章 インパクト――理想と道筋を示す
第5章 リスク――不確実性を飼いならす
第6章 ガバナンス――秩序を作る
第7章 センスメイキング――納得感を作る
社会実装のツールセット1~10
おわりに
【著者】馬田隆明
東京大学産学協創推進本部FoundXおよび本郷テックガレージ ディレクター University of Toronto卒業後、日本マイクロソフトでのVisual Studioのプロダクトマネージャーを経て、テクニカルエバンジェリストとしてスタートアップ支援を行う。2016年6月より現職。 スタートアップ向けのスライド、ブログなどの情報提供を行う。著書に『逆説のスタートアップ思考』『成功する起業家は居場所を選ぶ』。