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【未来型読書×グループコーチング】新企画Read&Practiceについて、話をしました。

ハーバード大学の発達心理学者ロバート・キーガン教授とリサ・ラスコウ・レイヒー教授が提唱する、究極の変革アプローチ「Immunity-to-Change(変革を阻む免疫機能、略してITC)」。
「変わりたくても変われない」という心理的なジレンマの深層を掘り起こし、変化から自分を守ろうとしている免疫機能を解き明かす手法です。
このアプローチを説いた書籍『なぜ人と組織は変われないのか』を共に読み(Read)、ITC認定コーチとのグループワークで「免疫マップ」づくりを実践する(Practice)学びのセッション「Read&Practice」をはじめることになりました。
今回はこのプログラムをともにつくり、ファシリテーターも務める竹田弘明さんと、英治出版メンバーの安村と鈴木の対話のかたちで、プログラムにこめた思いや特徴をお伝えします。

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本による理論×コーチングによる実践サポート

安村:まずはこのプログラムのきっかけから話しましょうか。
英治出版では、本の出版にとどまらず、本にある叡智の実践をサポートできるといいよねという話を、ここ何年かよくしていて、そんなときに竹田さんに声をかけていただいたんですよね。

 竹田:はい、エグゼクティブコーチングを普段しているのですが、クライアントからおすすめの本を聞かれて、紹介することがよくあるんです。英治出版の本をすすめることもあります。
クライアントに変化が起きて興味がでてきた段階で、それに応じた本をおすすめすると、変容がぐっと進む感覚がある。「コーチングによる実践のサポート」と「本による理論」の相乗効果を感じていました。
この相乗効果による変容をもっと広げるのに、一緒になにかできないかと思ったのがきっかけです。

ファシリテーターを務める竹田弘明さん

2016年より竹田&パートナーズ代表として、エグゼクティブ・コーチング、リーダーシップ開発、組織風土改革など、持続可能な行動変容をもたらす人材開発・組織開発を実践。その間米国ギャラップ社のシニア・アドバイザーとして日本における同社の事業開発を推進。2019年よりはグロービス経営大学院の講師として、管理職研修プログラムのリーダーシップおよび組織風土を担当。それ以前は経営人材コンサルティング大手エゴンゼンダーのパートナーとして、エグゼクティブサーチ、エグゼクティブ・コーチング、社長後継プロジェクトや買収後統合(PMI)プロジェクトなどに携わる。国際コーチング連盟(ICF)認定コーチ/ハーバード大学ロバート・キーガン教授Immunity-to-Change©認定コーチ/ギャラップ認定ストレングス・コーチ/The Leadership Circle®認定プラクティショナー。ロンドンビジネススクール・スローン経営学修士課程修了。エンブリーリドル航空大学(米国フロリダ)航空経営学科卒。運輸省(当時)航空大学校本科卒。

安村:もともと英治出版では、社会によい変化を起こすためにという思いで、本を出版してきました。出版企画を決める会議でもよく口にされるのが、その思いを表したミッションPublishing for Changeという言葉で、「変化のための出版」だけではなく、「変化のための叡智を公のものにする」という意図もこめて使っています。
そんな思いもあったので、ぜひ!ということになりました。

英治出版メンバー・安村

 鈴木:いくつか書籍の候補もあったなかで、まずやってみようとなったのがなぜ人と組織は変われないのかだったんですよね。
竹田さんは、この本で紹介される「Immunity-to-Change(変革を阻む免疫機能、略してITC)」の認定コーチなので、この本を読んで、ITCの柱となる「免疫マップ」を実際につくるセッションをしてみようと。
そもそも竹田さんがITC認定コーチの資格をとる最初のきっかけって、なんだったんですか?

英治出版メンバー・鈴木

 竹田:僕は今のように独立する前、エゴンゼンダーという組織で、エグゼクティブ・サーチやエグゼクティブのアセスメントをしてたんです。そこがITCを開発した著者のロバート・キーガンさんと関係があって、東京オフィスでキーガンさんのワークショップに参加したのが、はじめの出会いです。
そこで関心を持って、1年間の認定プログラムに参加したんです。日本の認定コーチの最初の二人の一人だったんですよ。
そのあたりからコーチングに魅了されて、6年前にコーチとして独立しました。

小さな「できる」を自覚すると、 加速度的な変化が起こる

安村:そうだったんですね! 免疫マップでは、自分の「変われない」部分、弱さや苦手意識があるところに切り込んでいくので、その変革の旅の伴走者がどんな人なのかは、とても大切なのではと思います。
ということで、竹田さんがどんな人なのか、もう少し聞かせてください。エゴンゼンダーの前はどんなことをされてきたのでしょうか。

ハーバード大学の発達心理学者ロバート・キーガン教授とリサ・ラスコウ・レイヒー教授が提唱する、究極の変革アプローチ「Immunity-to-Change(変革を阻む免疫機能、略してITC)」。「変わりたくても変われない」という心理的なジレンマの深層を掘り起こし、変化から自分を守ろうとしている免疫機能を解き明かすこの手法を説いた書籍。 

竹田:元々僕はパイロットになりたくて、高校卒業して航空大学校に行ったんです。

 鈴木:えぇ、そうなんですか!

 竹田:そうなんですよ、一応免許も持っています。ペーパードライバーですけど。
ただ卒業のときに景気が悪くて、パイロットの募集がなくて、たまたま縁があった商社の航空機部門に就職しました。そこで15年勤めて、半分くらいは海外に駐在していました。アメリカとアイルランドです。
そのあと商社を辞めて、ロンドンビジネススクールにいって、縁あってエゴンゼンダーにはいって、それから独立したというかんじです。エゴンゼンダー以降は20年以上、ずっと日本で人に関わる仕事をしています。独立してからは、ストレングスファインダーで知られるギャラップ社のお手伝いもしていました。

 安村:いろんなキャリアを経ているんですね。

 竹田:そうですね。ただ人というものや人と人の関係性には、ずっと興味があるのかなとは思います。商社も、担当していた航空業界がけっこう狭いこともあって、人と人の関係が大きかったです。

 鈴木:なるほど、たしかにITCも人に深くはいっていきますよね。これまでのコーチングのクライアントで、印象的な方っていますか?

 竹田:そうですね、外資金融の役員で劇的に変わった人がいて、その方が印象的かな。
2000人くらいを率いる立場の人で、免疫マップで設定した改善したい課題(ゴール)は「リスクにもっと積極的になる」というものでした。

金融という業務の特性上、コンプライアンスやレギュレーションが厳しいし、オペレーションのミスは許されない。だからリスクを考えるのは当然のことで、難しい課題でした。
一方で、会社としてはグローバルに積極的にリスクをとって、イノベーションをしていこうという方針があったので、リスクに挑戦できるようになりたいという思いが、ご本人に強くあったんですね。

その方が結果的に、3ヶ月位で劇的に変わりはじめたんです。挑戦することにとても前向きになって、社長も含めまわりの人もとてもびっくりするくらいでした。

 鈴木:なんでそんな劇的な変化が起こったんでしょう? 

 竹田:まずは本人が変わりたいと強く思っていたというのはあります。その前提があるときには、必ずなにか道はあると僕は思うので。
そのうえでなにかサポートをすると、小さな一歩でも行動が生まれて、「やってみたら、意外とできるじゃん」という経験ができる。その実感が持てると、どんどん人は変わっていくと思います。
さっきのケースは、それがすごくうまくいって、加速度的に変化した感覚があります。

 鈴木:なるほど。はじめの一歩をサポートするなかで、意識していることとかあるんですか?

 竹田:グッドクエスチョンですね(笑)。そうだなぁ、自分の弱い部分を変えるということは、普通は触れたくないと思っている脆い部分にも、触れないといけないんですね。自分をださないと、前に進めない。
そのために、信頼関係というか、さらけだせる場づくりみたいなものは、大事にしています。
サポートのために、僕から結構ぐさっと言うこともあるんです。それを受け止めて、オープンに話せる土壌をつくっておくかんじです。

 安村:ある程度さらけ出せる関係性になったら、ぐさっといくわけですね。

 竹田:実は今日もさっきまで、自動車メーカーの役員クラスの方のコーチングをしていて、「こんなこと周りには言ったことないんだけど」という思いを語ってくれたんですよ。
そういう普段は言わないその人の思いみたいなのものを言える場にしようというのは、とても大事にしています。

 安村:ストレングスファインダーに関わるお仕事もされていたということですが、自分のポジティブな面にも注目するというのも、そういう場をつくることと関係してくるんでしょうか。

 竹田:ポジティブな話をすると、人は胸襟を開きやすくなるので、一つのきっかけにはなっていると思います。
コーチとしては、課題に向き合うためのセッションだとしても、課題だけがその人のじゃない、良いところも弱いところもあるその人の全体を見たいという思いもあります。

 人とシェアすることで、自分の固定観念が見えてくる

鈴木:全体性ですね。Read&Practiceもそういう場にしていけるといいですよね。

 竹田:免疫マップづくりは、1人でやるとなかなか深堀りが難しいんですよね。そもそも無意識だからこそ変わるのが難しくて、でもそれを意識していくというプロセスですから。
だから、信頼できる場をつくりつつ、ぐさっという指摘することもあるかもしれません。
表層的にマップをつくっても変化は起こらないので、気づきが深まる場にできればと思っています!

免疫マップのサンプル。
このマップを埋めていくには、普段は見ないようにしている自分の面と向き合うことになる。

 安村:竹田さんには、英治出版メンバーにも「免疫マップ」づくりのワークショップをしてもらったんですよね。ちょうど今回のプログラムと同じ15人くらいで。
竹田さんは普段1対1でも、今回のように対複数でもITCコーチングをすることがあると思うんですけど、違いってありますか?

 竹田:一番は、参加者同士でシェアをする機会があることですね。他の人のリアルな例を見ると深まることはあると思います。

 鈴木:たしかに自分がやった感覚としても、人の事例を見て自分はどうかと考えたかな。あとは他の人の事例を自分がこんなふうに受け止めるのかというのもあった。それによって、自分のなかの固定観念が揺さぶれたような。

 竹田:うん、そういう化学反応が、グループならではの良さだと思います。

 安村:私は鈴木さんと同じグループだったんですけど、鈴木さんのコメントで気づいたこともありましたね。 

鈴木:そうそう、社内でやると「そこを、気にしてたのか~」というのもあった。そういう意味では、相互理解にも役立った感覚があるなぁ。

 安村:たしかに。仲間との参加割引とか、チームの方向けにとか、将来的にはやってみたいですね!

 読んで対話することで、自分の課題が見えてくる

 安村:Read & PracticeのReadの部分についても、お話しましょうか。ABD(アクティブ・ブック・ダイアローグ®)という、手分けして読んで、要約して、対話する読書会の方式で本を読む予定です。鈴木さんも、ABDの認定ファシリテーターの資格を最近取得していましたが、ABDの魅力ってなんだと思いますか?

 鈴木:やっぱりアクティブ・ブック・ダイアローグの「ダイアローグ」の部分が非常に魅力的だと思います。
一人で本を読んだときには気づかない視点に、対話をすると気づく本の内容という共通言語があったうえだからこその対話の深まりは、やっぱりやってみるとびっくりするところかなと思います。

 安村:たしかに。以前、今回と同じ著者のロバート・キーガンさんの『なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか』という本のABDでファシリテーションをしたときも、対話が盛り上がった記憶があります。
今回の『なぜ人と組織は変われないのか』もそうですけど、リアルな事例がぐさっとくる本だったので、事例から思い出されたそれぞれの個人的な経験をシェアして、深められていた印象です。
そうやって本を読んで対話して、自分の課題って何だろうと深めることで、免疫マップづくりのスタートラインに立つ準備になるといいなと思っています。

英治出版では、新刊発売のタイミングなどにABDを開催している。

 竹田:厚い本なので、積読しているというのもよく聞きます(笑)。そういう意味でも、イベントの時間内で集中的にみんなで読めるのは、いいのではと思います。

変容の第一歩に

 安村:最後にRead&Practiceがどんな場になることを願っているか、どんな方に参加してほしいか、三人が一言ずつ話して終わりにしましょう。まずは私から。
ずっと気になっている自分の弱さって、一人で向き合うのはなかなか大変だと思うんです。私自身も免疫マップをつくるなかで、勇気がいるなとか、どうすればいいのか質問したいなと感じました。
だから、竹田さんや私たち、他の参加者と、一人では触れにくいところに、一緒に切り込んでいける機会になったらいいなと思っています。

 鈴木:私は変わりたいなと思っている人が、一歩踏み出す機会になるといいなと思っています。
やってみたら、さっきの竹田さんの話にあったように「意外とできるじゃん」と思えて、それを自覚すると劇的に変わるというプロセスが起きたらいいなと。そのきっかけにRead&Practiceを使ってもらえたら嬉しいです。
私もいち参加者として参加したいなという気持ちもあります。参加しているかもしれません(笑)。

 竹田:やっぱり変わりたいけど変われない、でも変えたいって真剣に思っている方に、参加していただきたいです。免疫マップは、「なぜ自分はこのパターンなんだろう」と考える機会なので、変容のために自分を本当に深く理解したいと思っている方もぜひ。
そういう方々が集まるとすごいパワーが生まれる場になるんじゃないかなと、期待しています!

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