つくる

グラフィック・ワークショップの宿題なのに、またもや描かない?? ーー”言葉にできない”自分の本音に気づこう④

A4の紙を使ったワークや、なっちゃんによるグラフィックで、会って2時間とは思えないくらい、濃厚な話をした3人。
「いやぁ、これからどうなるのかなぁ」と口々に言いながら、帰路につきました。

第2回のワークショップの開催は1ヶ月後。
それまでの間に、なっちゃんから3人に宿題がでました。

今日描いたグラフィックを眺めたうえで、あらためて最初のA4の紙のワークをやってみてほしいんです。「今の自分」「未来の自分」の2つを、つくってみてください。

カトちゃんが苦悩していた、あのA4の紙のワークです。

おさらいすると、ワークの方法は以下のとおり。
(みなさんもぜひご自宅でやってみてくださいね)

●今自分のなかにある感覚や気持ちを、A4の白い紙で表現する。
●紙になにか描くのではなく、ちぎったり、折ったり、まるめたりして表現する。
●ポイントは、他人にわかってもらおうとしないこと。言葉で気持ちを認識する必要もなし。(今の自分の感覚を胸に手をあてて感じとって、その感覚にピタッとくるまで、紙を自由にぐちゃぐちゃやっていくイメージ)

ワークショップが終わって何日か経つと、3人からA4の紙の写真が届きました。
なっちゃんと他の2人のコメントと一緒に見ていきましょう。

シンケル(製薬会社の開発職)

(シンケルの「今の自分」)

(シンケルの「未来の自分」)

なっちゃん だいぶスッキリしてそうだ!(笑)

ハルちゃん 今は、混乱したぐちゃぐちゃのなかから一本の道、光があるようなかんじ。未来は、すっきり、潔いかんじがする! 曇りのち、晴れ間が見えてきたみたいな。ちょっとだけちぎれた端っこが、元の場所に戻っているのが興味深い!

カトちゃん 絡んでいた一次元(線)が、境界のある二次元(面)になるかんじかな。自分領域の確立、みたいな。


ハルちゃん(情報サービス会社の人材開発担当、2児の母で今は育休中)

(ハルちゃんの「今の自分」)

(ハルちゃんの「未来の自分」)

なっちゃん よりやわらかく、柔軟になるのかなぁ〜?

シンケル 今は、まだいろんな感情がまとまっていなくて、それぞれがうずうずしているかんじ。未来のほうは、なにかひとつの形をつくりはじめたかんじかな。感情が整理されたのかも? 包み込んでくれそうな強さと優しさがある。

カトちゃん 今は、平べったいなかに2個の山がある。2つの山は、オンとオフのイメージかもと思った。未来は、その2つの山が有機的に絡みながら、全体としてVの字型に盛り上がっていくかんじかな。


カトちゃん(機械メーカーの新規事業開発担当)

(カトちゃんの「今の自分」)

(カトちゃんの「未来の自分」)

なっちゃん 超力強くなっているかんじがする。

シンケル 今は、まだ殻をかぶっているかんじ。でも未来の姿に向かって、むくむくしてきているかんじもある。真ん中あたりに、星っぽい形が見えるのは偶然?
未来は、殻を破って飛び出してる。向かいたい方向がはっきりして勢いにのっているかんじ。

ハルちゃん 今は直線。でも気持ちは交差、もしくは交錯しているかんじがする。真ん中にもうちょっとで完成形の星があるね! これから光るすごい力を秘めているのかな。
未来のほうは、「ギュン!」って音が聞こえる! スピードも感じるけど、土台はどっしり構えている。……と思ったら、土台の裏側は繊細なかんじもするな。


三者三様の「今の自分」と「未来の自分」。
これから残り5回のワークショップで、3人はこの「未来の自分」に近づくのか? はたまた予想外の形になるのか―?

第2回のワークショップの様子は、1月にお届け予定です!


あなたのA4の紙のワークをシェアしませんか?

モニターの3人と同じように、「今の自分」と「未来の自分」のワークをやってみた方へ。
ぜひTwitterもしくはFacebookに、ハッシュタグ「#言葉にできない本音」で投稿してみてください。

そして、この3人のように、ハッシュタグをつけた人同士でお互いに感想を言い合ったり、身近な人に感想を聞いてみたりしてみるとよいかもしれません。
第2回の記事でシンケルが言っていたように、「人の感想を聞いて、わかってくる」ことがあるはずです!


連載のご案内

連載「”言葉にできない”自分の本音に気づこう」
話したり文章を書いたりするだけではなく、「グラフィック(絵)」を使うことで、「言葉にできない」本音が見えてくる。そして、その本音と向き合うことができたときに、モヤモヤが消えていく――。そう語るのは、企業や行政の会議、NHKの番組『週刊ニュース深読み』や『クローズアップ現代+』などで、グラフィック・ファシリテーションをする山田夏子さん。本連載では、彼女のワークショップに参加する読者モニター3人の変化を追うことで、グラフィックの力に迫ります!

第1回 :「絵が苦手な」読者モニター、3人が決定。グラフィック・ワークショップ、いよいよ開催へ。
第2回:グラフィックのワークショップなのに、絵を描かない?
第3回:読者モニターの語りを、山田夏子さんがグラフィックで描くとどうなるか?
第4回:グラフィック・ワークショップの宿題なのに、またもや描かない??
第5回:グラフィックの講座なのに、ひたすら線を描く。会場は擬音のオンパレード!
第6回:「絵が苦手」だったはずが、いつのまにか抽象画を描いていた!?
第7回:物語をつくると、「言葉にできない本音」が見えてくる!?
第8回:他人だったモニターは、なぜ「家族のような」関係になったのか
山田夏子(やまだ・なつこ)
株式会社しごと総合研究所代表取締役、一般社団法人グラフィックファシリテーション協会代表理事、システムコーチ/クリエイティブ・ファシリテーター。
株式会社バンタンでアーティスト、デザイナーをめざす学生指導や講師マネジメント、バンタンデザイン研究所ヘア&メイクスクール館長、人事部教育責任者を経て、2008年株式会社しごと総合研究所設立。
「クリエイティブ」を仕事や教育、生活などの中で、豊かな営みとして活用できるよう、グラフィック・ファシリテーションの講座、ワークショップや研修を提供している。NHK総合「週刊ニュース深読み」「クローズアップ現代+」などのTV番組で、グラフィック・ファシリテーションをすることも。



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